バス停/さち
 
「ジョーさん、なんさい?」
「32」
「おれーにじゅーきゅーさーい」
夜もふけたバス停に馬鹿でかい声が響く


 酔っ払っている
 明らかに酔っ払った29歳という青年
 いや
 青年という言葉の持つ清々しさより
 グダグダになっている大きな子どものよう

 ジョーさんなる32歳のほうは
 さすがに落ち着きを保っている
 酔って機嫌良さそうに しかし
 そのグダグダをたしなめたりする


「ジョーさん職人?何のー?」
「今は建具屋」
「建具ぅ〜?」
「リビングのドアとか。クローゼットとか。」
「ふぅ〜ん。」


 全く無関係の私にも個人情報が流れてく
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