エスケープ失敗/ブルーベリー
 

曖昧な笑みで
あなたは恭しく手を差し出し
私は境界線を越える

もう思い出せなくなった

紫煙がすっかり抜け切った身体
あなたの微かな腐乱と汗のほんとうに
違和感が拭えないのに

もう思い出せなくなった

だから私は学習すべく
あなたの首元に顔を埋める
漂白されていく欠片を残すべく
違和感だらけになる予感に

もう戻れない


エスケープのお供を見つけられない私を
あなたは笑いながら咎める
黄ばんだ歯だけが微かにしみて
私は目を伏せた

守りたかったわけじゃない
言えば
宥めるように撫でられた

どこまでも透明な声は
見透かしてわらっていた

…、白い煙なのに何で紫煙だなんて言うのかしら、ね

あなたはもういちど頭を撫でた
リセットの合図だった

あなたは透明になってしまうの

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