晴れた日の紫陽花の思案/永乃ゆち
 

紫陽花は雨が似合うね



そう言ったのはあの人だったかしら



そう聞いたのはいつだったかしら



晴れた日の紫陽花は、それはそれで美しいけれど



やっぱり雨が似合う



紫陽花は晴れた日には、どこか居心地悪そうに見える



美しくもない私がそうであるように



雨の日の紫陽花になりたかった



あの人のただ一人の女性になりたかった



あの人に似合う自分でありたかった



紫陽花は雨が似合うね



その口ぶりで



僕には君が似合うね



なんて言って欲しかった



晴れた日の紫陽花の思案



始めから決まってた結末



わたし何にもなれずいる



紫陽花は雨が似合うね



紫陽花もあの人も



遠く遠く



いっそ消えてしまえば良い



この醜い思考の



わたし自身も
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