「夜があまりに長いので」/ベンジャミン
夜があまりに長いので
ひとつふたつと数えたのは
ヒツジが柵をとびこえる
ひとみを閉じた景色でなく
あれはそう
誰にでもあるという
こころの風景のいろいろを
喜怒哀楽のふるいにかけて
かなうなら
喜びや楽しさだけを抽出して
どれだけ軽やかに
自分自身が柵をこえられるよう
そんなふうに願ったのですが
夜はあまりに長いので
深いねむりにつくまえに
どうしてもつまづいてしまうのです
六月ですから
夜を重ねるように月あかりさえ
届かないのは光ではなくて
過去という時間に流されたものたち
その多くが悲しみなどと呼ばれて
まるで要らないもののように
置き去りにされてし
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