歌う人/
竜門勇気
たいに
水たまりが地面に染みこむように
ただ自然に
歌が歌えるようになりたい
岩にしぶきを上げる激流のように
荒れ狂う春の波のように
もう
そんなのは
疲れた
人に言わせれば
僕は血を吐く犬のようだという
残酷さに叩き潰されて
血反吐を吐くケダモノのようだという
道端に干からびる激しい命の残骸のようだという
もう
そんなのは
疲れた
望んで哀れなんじゃない
哀れみを自分にかけるしか
上手く生きる方法を知らなかった
戻る
編
削
Point
(2)