ミナモ/mugi
 
でかたちをかえている、プラタナスの葉のうえに紙ふぶきが1枚とりのこされていて、風に
ふかれても、とびたつ決心をつけらなかった、日差しはやわらかく、朝露のように、葉脈にそってこぼ
れた、両手ですくってみると、砂のようにさらさらと、指の股からのがれて、音もなく地面におちた、
乾いた蜻蛉の羽を砕くと、このようにはかない光を放つだろうか、パン、と両手をたたくと、指紋のあ
いだにつまっていた粒子が舞いあがる、その一瞬だけ、視界に光があふれる、もういちど両手をたた
く、すると閃光弾が炸裂する、やがて、雪のようにしろい肌に、草臥れた、しろいオックスフォード生
地のシャツをはおった男が、よろよろとパレ
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