少年ということ。/永乃ゆち
 





ブランコを漕ぎ出す勇気が持てなくて胸のあたりで冷める合鍵

爪を噛む癖ができてしまってはオアシスのない旅が始まる

瞼までお湯に浸かって忘れたい崩れた月の訳も記憶も

あの月が振り切れなくて駆け出したランドセルは真っ黒だった

枕木に苔が生えてて少年は永遠などはない事を知る
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