脇役/永乃ゆち
ろう
私は主人公になんてなれない
自分の人生に責任を負う事が嫌だから
またこの人生に加わって来る人たちの相手をするのも嫌だから
私は独りが良い
眠くなるのもお腹が空くのも抱き合いたくなるのも
そんな自分をいつも外から見ていたいと思う
生きてる実感を人は欲するものだというが
私にしてみれば死んだ事もないのに実感は湧かないだろうと
かと言って死んでみたいわけでもない
取り敢えず生きている
生きてるから生きている
生きてる内は生きる事を全うする
やり方が少し違うだけで
私を私が見つめて滑稽に思ったり同情したりする事が
割りと面白いのだ
主人公になんて成らなくて良い
一生脇役で良い
誰からも見向きもされず
喧騒の中で泣きじゃくったら
私は思いがけず自由になれた
私は自由になれた
誰の目も気にすることなく生きてゆく事が
私の目標だ
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