脇役/永乃ゆち
 
ろう


私は主人公になんてなれない

自分の人生に責任を負う事が嫌だから

またこの人生に加わって来る人たちの相手をするのも嫌だから

私は独りが良い


眠くなるのもお腹が空くのも抱き合いたくなるのも

そんな自分をいつも外から見ていたいと思う


生きてる実感を人は欲するものだというが

私にしてみれば死んだ事もないのに実感は湧かないだろうと

かと言って死んでみたいわけでもない


取り敢えず生きている

生きてるから生きている

生きてる内は生きる事を全うする

やり方が少し違うだけで


私を私が見つめて滑稽に思ったり同情したりする事が

割りと面白いのだ


主人公になんて成らなくて良い

一生脇役で良い

誰からも見向きもされず

喧騒の中で泣きじゃくったら

私は思いがけず自由になれた

私は自由になれた

誰の目も気にすることなく生きてゆく事が

私の目標だ
戻る   Point(1)