呼び鈴/ちゃむ
雨音が降り続く静寂に
薄暗い部屋
こんな日に訪れる人なんていないから
ベルはならない
炭酸水を手にとった
窓の景色はゆっくりと流れて
時計は止まってしまった
好きな雨の歌を
晴れた日を思う歌も
こんな日は聞いていよう・・・
・・・誰にも邪魔はさせない
テーブルにうつ伏せたままの眠りに
炭酸の泡の弾ける音が伝わって
雨は止んでいないことを知った・・・
・・・誰か呼ぶ声がする?
ベルはなっていないのに
小さな鈴の音が訪ねてくる
目を開けて声のするほうを見ると
やっぱりおまえが居たね
雨に濡れたおまえは足元に寄り添って
「ねえ、拭いてよ」
とわがままに微笑んで
拭いてあげたら
「ねえ、お腹減ったよ」
とまた笑う
おやつをあげたら
「じゃあね」
とそっぽを向いて
快適なふたりの距離を保つ
まだ雨は止んでいないから
こんな日に訪れる人なんていないから
ベルはならない、きっと・・・
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