終末と、始源と/まーつん
海面を飾り始めた
゛美しいのはいつだって 始まりと終わりの瞬間だ
そして その間に紡がれる 無数の命の物語が
運命の糸車を回し続けるよう 私を力づけてくれる゛
神が裸足で踏み込むと 水は喜んでその身体を支えた
波の彼方に顔を覗かせた満月が 主(あるじ)の行く手を黄金色に照らし
海の腕に抱かれた 無数の命の輝きは
今や星空よりも眩しく 夢の中から笑いかけ 去りゆく親を見送った
水面に刻まれる一対の足跡は やがて惜しまれながらも 波のモップに洗われて
いつしか 何も無かったかのように
暗い夜の海の背中が うねるばかりになった
まるで全てが
誰かの脳裏に描かれた
幻だったかのように
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