朝の街路樹/殿岡秀秋
思わぬ方角から飛んでくる
ボールのように
不幸は突然
ぼくに当たる
視界が狭くなり
周りが暗くなって
倒れるときに
歪んでいくぼくの顔が見える
しばらくしてもうひとりのぼくが
起きあがり
朝の地平線に
白い靄が湧くのを見る
街路樹の枝が腕のように伸びて
歩きだすぼくの行く手をさえぎる
ヒノキの枝が蛇のように
からだをからめ獲っていく
両手を振り上げる
葉をむしったり
小枝を折ったりすると
枝がほどけてゆく
ヒノキの葉に
銀色に光りながら
米粒くらいの小人たちが
種のように並ぶ
手で枝を払うと
小人たちはいっせいに跳ねて
目
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