地球を回そう/永乃ゆち
愛してると伝えるにはあまりに近すぎる距離
袖を掴んだら驚いた顔をした
『兄妹のように仲が良い』とは私にとって賛辞ではなく
ずっとカツ兄(かつにい)の隣にいるのは私だと思ってた
その人は美人とは言えないが優しい笑顔が印象的で
ライスシャワーもブーケトスも、どうしても参加できなかった
カメラ係だったけれど一枚も撮らなかった(バッテリー切れという事にした)
遠くへ行きたいと初めて思った
独りになりたいと初めて思った
恋を失って初めて泣いた
悔しくて泣いたのも初めてだった
地球が回ってるなんて嘘みたいだ
さよならとか言いたくないけど
なかったけど、言うしかなくて
遠くへ行こう
走り出して
思い切り大地を蹴って
私が私の地球を回そう
ばいばいカツ兄(かつにい)
今までありがとう
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