「 マッチで手はあたたまらない 」/椎名
輝く街の灯りにジングルベルが鳴り響き
年の瀬に浮かれ始めている
煌びやかに飾り付けられた店先
どんな夢を売っているのだろう
人の波が溢れる
せわしなく行き交う人々
ぽつんとあたしは
立ち尽くす
まぶしくて近寄れないよ
なんだか場違いだよ
両手をポケットにつっこんでさ
ひとり立ち尽くしている
一年の終わりに夢を見る
キリスト信者でもないくせに
メリークリスマス
プレゼントを選ぶのは楽しい作業
引き換えにもらう夢は
きっと胸を暖かくしてくれるんだろうな
風は冷たい
ポケットから両手が出せない
ねえ
あたしの手もあたためてよ
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