なまえのない、/itukamitaniji
なまえのない、
もう6月になろうとしていた、何だかとても暑い日々が続いて、窓を開けると初夏の空気が流れ込んできた。
もうすっかり、夜は明けようとしている。まだこんなに早い時間なのに、時々音が聴こえてくる。走り去る車の音とか、犬が吠える声とか。
普段生活していても、思い出そうともしない人の顔。ふとした時に夢で現れて、何かとても不思議に感じる。忘れたと思っていた、あれやこれもどうやらちゃんと、頭の片隅に残っているみたい。
嫌いになったものなんて、何一つとしてないのに、少しずつ少しずつ減っていってるように感じるのは、一体なんでだろう。
そういえばいつか聞いたことがあるような
[次のページ]
戻る 編 削 Point(0)