草刈り/
たもつ
ウミウシの背丈より
大きくなった僕の子供が
草原に立って
外国人になる
痛みのない蝉が
辞書の中で鳴く
抜け殻でできた橋梁が
丁寧語で崩落を始める
通訳の人は母国語を忘れ
手紙には
空白だけが綴られていく
僕と僕の子供が草刈りを始めると
二人の間に
薄い国境線が引かれる
汗が饒舌に
僕らそのものになる
夏なのに
どちらからともなく
ごめんなさい、と言う
その時の笑顔が
今でも忘れられない
これからも
忘れられない
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