薄墨/
和田カマリ
夕暮れの大気
弔辞を書く為に
薄墨に筆を染める
水っぽい墨が
時間とともに
幾重にも
幾重にも
塗り返され
暗い時間へ
暗い時間へと
遥かなる
水魔の国へと
僕を誘っている
暗い場所へ
暗い場所へと
静かなる
死者の国へと
僕を誘っている
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