交錯する断片/記憶/桐原 真
 

耳の奥ですうすうと響く
自転の渦よりも果てしない



それは
薄紅を乱す煌めきたちであり、
乱反射とは相反する速さをはらんでいて、
きみは
まるで恋のようだね、と
指先も爪先も放り投げて微笑んだ


(最果てまで続くような曖昧さで、
赤い果実は色を深めてゆきます)


雨上がりの夕刻に
じゃらじゃらと、おはじきを持て余した幼い背中の
あまったるい記憶、
のような
人びとの影たち


大きすぎる靴と、
ワインレッドのペディキュア、は
昨日と何も変わらない






とある駅で
列車は三叉にわかれて流れてゆく
遠くま
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