飛行機が頭上を通りすぎている さよならのなか密かな発作 骨の間を縫うように飛ぶ飛行機に印字する風 わざと会いたい 透明に傾き無色の戦場を駆けてかならず君をたすける
からだじゅう耳をあてるとロッカーのひとりでに開く音がきこえる 耳栓をあげたい今日は耳栓をあげたいわたしを忘れてもいい だれですか砂いいえ灰わからない肌わからないわからない火も いくつもの過去が佇む目のなかに温度を変える水銀がある たんぽぽを手折って渡す綿毛ではなくても吹くね ゆれてうれしい