『アンモナイト』/東雲 李葉
化石になったら隠れよう 琥珀になったら閉じこもろう
みずみずしい生き方だったね
まるで魚のような鱗はないけど
剥がしても剥がしても人になんてなれないから
何万年経ってもまだ地球の話をしてばかりの僕らだ
変わらない姿で色で 周りが石になっても砂になっても
たくさんの涙がこの海の源泉さ
まるで貝のように口を閉ざして
柔い中身を衆目から退けて
何万年経ってもまだ星座を知らない水底だ
それでもいつかいつか
流れ星が落ちてきたらいいな、って
一緒に化石になりたいな、って
右巻きに願いをかけて渦を巻くアンモナイト
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