「おさない、夏」/
ベンジャミン
まだ五月
夏とよぶにはまだはやい
いったい何がはやいのだろうか
汗をながした数なのだろうか
暦の数字のことなのだろうか
はやる気持ちの焦りだろうか
けれどもう
それはもうそこかしこで
静かな音の中にでも
瞳にうつる色のあちこちにも
たしかに近づいてくるものの気配を
ふと誰かに呼ばれたような気がして
今日も見つけてしまうのは
まだ五月の中にひっそりかくれている
おさない夏のことなのです
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