少年/itukamitaniji
 
少年

言葉知らずの純粋な少年は
足らない言葉を必死で探し続けてた
書いては破って捨ててノートのページは
減っては減ってはついに無くなってしまってた

ギターを背負った自転車少年は
まだ明けない街を必死で駆け抜けた
眠らず書き上げた最高傑作で
世界を変えるんだって

何処の誰の心にだって
きっと届くと信じている
広さも分からないまま舞台の真ん中に立って
いつまでも夜空に向かって歌ってた


いつでも少年気取りの大人の
夢は余計な悩みで太っちまった
もう似合わなくなった中二な言葉を
紡いでは紡いではついに尽きてしまった

老いを憂い歎いている大人の

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