毎日/松本 卓也
誰かに表明できる素晴らしき自分がある人らに
羨ましいと思うと同時に 妬ましくも思ったりさ
なんて貧相な感性なんだろう
世界は素晴らしき灰色に満ちてるって言うのに
この醜い感傷を定義する名詞さえ思いつかず
ただただ煙に巻かれるだけ
明日にしがみ付くだけ
未練と寒々した表面上の物語が
誰の不幸の上に築き上げられ
屍を晒してるって言うのに
積み上げた幸福の記録
並べられた日常の器
誰も彼も知らないまま過ごしてるのか
それとも見知らぬフリをしてるのか
本音と社交辞令を綯い交ぜにしつつも
ただ今日を素晴らしい思い出に包み込む
今日を生きたって満足感は
明日には息の根を止められる
それに過ぎない毎日なのに
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