行方/
山人
またひとつ、と、足を繰り出す
ふくよかなまだ若い単子葉類の植物の葉触りが、つめたい足の皮膚に触れている
何歩かあるきながら、沼を振り返ると、沼など無かった
---すでに失われている---
私には眼球が無く、私は半身失せているのだった
粒のような小石を足裏で感じ
土の感触をつかみながら
そう、少しづつ
そうして私は
得体の知れない摩訶不思議な匂いのする、生暖かい森の中へ
足を踏み入れていくのでしょう
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