行方/山人
白んだ朝
淡々と家事をこなす女たちのような夜が明ける
現実の襞をめくると、憂鬱に垂れ下がった雨が、湿度と共に滞るように霧状に落ちている
五月の喧騒は静かに失われている
*
晩秋、残照がまぶしく山林を覆っていた
透明な水みちを、ぼんやりと眺めていた
水ぎわの水をすくいとり
一口飲んだとき
喉をつたってゆく充足はまっすぐだった
脛までまくりあげて、沼の河口に立ち、水に入る
透明で、中の砂粒まで見ることができた水は薄く濁り、沼の中央にはぽっかりと霧が生まれている
その周辺には、実直な森がたたずみ、私の眼前に姿をさらしている
足の指と指の間に、濁
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