冬空/松本 涼
 
冬空の始まりは
少し疲れた
白い横顔

鳥にも雲にも光にも
他人行儀なそぶりで


けれど其処には
秋の最後の雨と
昇ったいくらかの
私も居るのだろう


その頬はふいと
触れられそうで
遥かに遠く

雪を身ごもり冬空は
静かに俯(うつむ)いてゆく


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