春の星座/まんぼう2
 
内気なセレーネ
は恥ずかしくて急ぎ足
ビーナスとジュピターが
囃し立てるが
菫色の空を 
素知らぬ顔で
つれない素振り

ギジムナーは
煙草を吸いすぎて
舌が苦い

夕霞が夜に融けだす頃
小さい黄色の電車が一両だけで
暗い森の中に走っていく
煌々と灯りを放ちながら
まるで
夜の遊園地のようだ

桜が散ると
春はざわざわと
騒がしい

暖かな夕暮れ
透明な人たちが住む
町へ出掛けて
オデンを食べた

戻る   Point(3)