ノンフィクション/HAL
エキストラの
虚像のひとたちで彼等は卓越した脚本家と
才能に秀でた演出家できみのための世界を
創っているとしたらと云うことだよ
それらを神と呼ぶのも
悪魔と呼ぶのもきみの自由だ
でもどちらも正解ではないことだけは
きみに伝えておきたい
正解なんてこの世界には実存していない
余計にきみを混乱させてしまったかな
それならもう少し簡単に言おうか
きみが友だちと想っている旧友も
そんなエキストラとして演じているとしたら
きみが昔に訪れたパリもアウシュビッツも
きみのためにだけ創られた虚構の場所だったとしたら
きみはどう想うんだろうか
もちろん言うまでもないことだ
[次のページ]
戻る 編 削 Point(7)