人間精神の最も立派な発明/吉岡ペペロ
 

ンを行う。

利益が出たからといって、支払いだけを済ませ回収がまだならば、会社に金は存在しない。

税金にしても、期をまたいで二回に分けて支払う。

減価償却費にしても同じようなことが言える。

在庫、当座預金や普通預金、短期借入や長期借入が適正であるのかどうか。

あらゆる事象の結果そのひとつひとつをグルグルと繋ぎ合わせてゆく。

それをつぎの期、そのまたつぎの期、そのまたつぎの期と繰り返してゆく。

それによって運転資金の増減を確認してゆく。

そして未来の運転資金を捻出する手立てを打ってゆく。

あえてゲーテの言葉を借りるとするならば、財務のシミュレーション、つまり運転資金のシミュレーションこそ、『人間精神の最も立派な発明のひとつ』と言えるのではないだろうか。

僕たちのいる世界は、いま僕たちによってシミュレーションされているのだろうか。

僕たちはゲーテみたいなことになっては、いないだろうか。
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