推定無罪/
鯉
る。
カチンコと共に切断される視界、おれは火でフィルムを遮る
溶けてなくなる声を届かせるために溶ける
もうあいつのように響きはしないのだけれど
昼、夜、昼、夜、逢瀬のような日々を
その切れ間に置いたたばこを、どこへやるでもなく
サドゥーのように瞠目して、祈りを捧げながら吸う
あいつの名前をおれは知らない。呪術師は自分の名前を教えない
「知ってるくせに」、知らない
「知ってるくせに」、知らない
おれは灰皿の中に堆くなった無数のあいつを見る
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