推定無罪/
 
る。
 カチンコと共に切断される視界、おれは火でフィルムを遮る
 溶けてなくなる声を届かせるために溶ける
 もうあいつのように響きはしないのだけれど

 昼、夜、昼、夜、逢瀬のような日々を
 その切れ間に置いたたばこを、どこへやるでもなく
 サドゥーのように瞠目して、祈りを捧げながら吸う
 あいつの名前をおれは知らない。呪術師は自分の名前を教えない

「知ってるくせに」、知らない
「知ってるくせに」、知らない

 おれは灰皿の中に堆くなった無数のあいつを見る
戻る   Point(2)