身体がどうして花に触れられよう。花に触れられるのは、たましいばかりだ。/リンネ
はじけるような控え目さで男の存在を主張するが、
他に注文を聞いてくれる者もいないのだから張合いがない。
いや、確かにここには。
石ころにまぎれて今は陽炎のような内臓しか見えないだけだ。
初夏は辛うじて男のまなざしをまとい、
川は滔々と流れているがその先に、
信号が点滅するような、危うい光の言葉たち。
「昔の話だけど、女の子に、君は人間の看板だねと言われて、なるほどと感心したことがある」
「そう言ったのはその子の気まぐれ」
「百メートルも離れたところに、僕が背を向けて立っていた」
「それが歌でできたプラスチックのように見えたの」
「一目でそれとわかるように立っていたのさ」
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