破天/в+в
頭上を飛び回る一匹の蝿
よく目を凝らすと、その蝿は
小さな俺みたいな姿をしていた
小さな俺みたいな蝿は
耳元に近付くと
自分こそは天球の陥没により
俺という球体の内部に産み落とされた
乖離性神格なのだと
ヴィブラートの効いた声で囁いた
だが、俺の髪に
唾液塗れの足で触れ
頭部に空いた二つの穴から
頻繁に出入りを繰り返す
煩わしい神格とやらよ
お前が何であっても良い
抽象的に追い詰めて
飽きた頃には
鋏でその小さな羽を切り刻んで
頭から思い切り押し潰すとしよう
お前は俺に似ているが
所詮は蝿だからな
俺こそが四肢の主だ
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