日差し/吉岡ペペロ
いつつ目にはいる
静かな湿り気のなかで遠くを祈る
むっつ目にはいる
人生は曇りや雨のときにばかり祈るのではない
ななつ目にはいる
まだなにもない場所にむかって祈る
気づいてはいたのだが
よっつ目くらいからひとに付けられていた
夢から醒めたようになってななつ目を出たとき
背の高い男の人に話しかけられた
私はロシア人だ、この教会には毎日来てるんだ、一緒に食事でもどうだ、
優しい気持ちになっていた
哀しい気持ちになっていた
わたしは日本人だ、わたしは仏教徒なんだ、
日差しがふたりを照らしていた
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