人間という袋/吉岡ペペロ
 

さで細かいところまでは分からなかったし伝えられなかった。

大きな話ならと思いドイツの産業についての質問をしてみた。

分かりやすい明確な答えが返ってきた。

それはやがて彼らの歴史の話になった。

彼らは自国の歴史に自信と誇りを持っていた。

未来に、揺るぎのない強い楽観を持っていた。

話を聞いているとそれがとてもよく分かった。

彼らの暮らし、働きぶりや愛、得意や蹉跌をイメージしながら、ひたすらこのドイツ人たちの話を聞いていた。

邪魔をしてすまなかったな、そんな感じで彼らが席を立った。

再会を約束して彼らを見送る。

遠ざかる彼らの後ろ姿を見つめる。

すっかり群青いろに汚れた空の下、そこを彼らが連れ立って歩いていた。

民族のDNAをくらげのように浮かべて、人間という袋に入って歩いていた。
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