通学路の木/小川 葉
 


ものごころついたとき
芽はでていた

茎がのびていき
葉がなっていく
それをわたしは
ひまわりかとおもったが
木だった

茎は茶色くそまり
幹となり
やがてわたしの背より
高くなっていった

通学路のわきにある
その木をみて
まいにち通学した

ある日あらしがあり
その木の幹が折れているのを
わたしはあさ通学しながら見た

下校時にはまだ
折れた木はあったけど
翌朝あとかたもなく
かたづけられていた

その日のことを
今もよくおぼえている
芽がでて
ひまわりとかんちがいして
あらしで幹を折られた
そんな木があった日々のことを

わたしはその木を忘れない
小学校に通っていた
わたしを見ていたあの木も
わたしという子供がいたことを
忘れないように
見ていたはずだ

ものごころついたとき
芽がでたときから


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