朝の散歩/吉岡ペペロ
通勤の自転車に注意しながらでないと
この街での朝の散歩はあぶなかった
歩道を猛スピードで自転車がゆく
気持ちの良い朝の空気に
車輪もまた気持ちの良い音を立てている
ちょうどいま地球の裏側には
家路をたどる自転車があるだろう
それを運転するひとに
今日良いことがあっただろうことを思う
目のまえをゆくひとに
今日良いことがあるであろうことを祈る
幸福という価値観において、ひとは一様にちいさな存在だ。
そんな思考をくゆらせながら
朝の散歩を終えてホテルに戻る
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