No more less than(酸を歓待するための二秒)/鈴木妙
 
プラスチック製の彼女の柔毛
を食べたかった
頭蓋骨のじんじんをあなたへ伝えるはず
の二秒を求めた
プラスチック製の彼女のじんじんは
酸素のかわりに酸を歓待するスイッチを押してほしがった
乳輪から生えていた
一本だけ太く
粘り気の強い夜はその光がたよりだった
酸への歓待になるはずの
プラスチック製の彼女の
柔毛だった

あるときズワイガニをズガイワニと言いちがえた
思い立って外国のワニを口説きに出かけたワニだ
Nice to meet you./Me too./I love you./No./Why? /Ummmm./Ok./Ok.
と言った
玄関の外であの子を返してと叫ぶから気まずかった
リスが
そんな本を彼は教えてくれた
はずの二秒を求めた
それは酸を歓待するための二秒だけれど

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