ビリー・ザ・キッドに贈る/まーつん
男が立ちはだかった時
お前に立ちはだかった時
そいつは もう死んでいた
お前が生き続ける限り
それは不変の法則だった
ビリー
お前は撃った
沈黙を破るため
そして人はお前を 英雄と呼んだ
ビリー
唯の人殺しだ お前は
だが それを罪と呼ぶ以外にないのなら
世界は今より ずっと単純な場所であり続けたろう
山積みにした死体の上で
のんびりと胡坐をかくお前
噛み煙草を味わう口元の上には
満足げな双眸が 二枚の銀貨のように輝いて
己の技に酔いしれながら 砂埃の舞う無人の街を見渡している
風の唸りの向こうから響いてくる 死者の慟哭に聞き入りながら
ビ
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