無題の為のコラージュ/高濱
 


水レタスの頭部が割れて地を這う、すると麺麭がコインに代わるのが解るだろう。労働とは緩やかな死への街路である。

王冠を被った卵殻が謁見室に、楕円形の偏光器を置くと、歪んだ階段に天使の様な羽が生えて、纏い布を被った巡礼の姿が見られる。


希臘彫刻風の彼が建設現場に垂下すると、隣には首吊りが襤褸を纏い、顔の無い顔を向うに、死後の悲鳴に耐えている。

焼跡のパリ広場には、大工の釘打つ音、ひっくり返した様な音、蜂鳥の囀る球体が転がりゆく音などが溢れ。

広大無辺の砂漠の貯蔵庫には鳩麦の袋が、水中に次々と投げ捨てられる、すると沸騰した海はガラスで出来ていることが解る。

水面に燃上がる無数の櫂船が、古代の戦争が繰り返し上映されることになっている映画館が、処刑されてタブロイド版に一つの花を添える。

化繊工場に最新式の衣裳のアイデアが通達されると、不可能な曲線を縫製するための自動ミシンが稼働する。




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