時が過ぎるので身が縮む/黒髪
悔しさと苦しさを抱えて何年もやってきた。
それは、人と分かち合えるような種類の問題でなかったから、一人で考えるしかなかった。
世界の美しさが僕にはよく処理できなかったから、言葉で理解した範囲を再現してみることで、納得しようとした。
しかし、頭は空回りするし、使える言葉は限られていたし、ろくな結果にはならなかった。
今思うと、思いだけがあって、世界がなかった。
それは何も誇大な表現ではなく、僕は何もないことと最も近しいところにいたのだ。
口を開けた深淵、その中で何年も暮らしたということだ。
寒さと暗さは絶望を簡単に呼び寄せた。
絶望の深さは図りがたく、ただ、ぼんやりとした気分で日々を
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