ともだち/船田 仰
 
夜更けの不毛な会話ごしに
雨は小さな神樣をつれてくる
曇ったこころの真ん中に噛み付いては
別になにをするわけでなく
ともだちって
位置だね

自転車を押しながら橋の向こう
電車に乗るきみを見送るときに
ばいばい、無色の優しさでばいばい
そして明るい駅から出るくるくるした空気に
きっぱり押し流されて
どんまい、と言う
不意にニャーとか言う

住所不定の
帰り道をこえてもこえても
好きだよ。をこえられない
うっわー今こころが震度7やわー
何でか流行中の
好きだよ。をこえられない
本気で

何かを思い出しそうで嫌なんです
きみがふと、
そうか?というときに
かれが平和に
笑ってるときに
あの子が苦笑いしてるときに
わたしは生きています
あんたがた
ともだち、の肩にのっかってる
神樣。
噛み付くなら急所狙えよ
どうせなら
好き。がもっともっと悲しかったら
泣きたいくらいどきどきするなら
よかったのになあと
おもったりするのでした




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