ハトムネの胸騒ぎ/灰泥軽茶
彼はハトムネを二羽飼っています
以前彼はハトの形をした
クッキーを作る工場で働いていました
或る日彼は眠くてたまらずたまらず
たくさんのハトの形をしたクッキーが流れる
ベルトコンベアーに倒れこんでしまいました
たくさんの散り散りなったクッキー
運悪く壊れた機械は
生産ラインをとめてしまい
彼はくびになりました
その日の夜とぼとぼ帰宅していると
なんだか言いようのない胸騒ぎがするのです
そして胸のあたりがぴくぴく痙攣し
ホロッホー
ホロホロッホー
と彼の耳に聴こえるか聴こえないかの声で
ハトの鳴き声が聴こえるのです
これは何かの幻聴幻聴と
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