セレナイト・ローゼス/こん
緑あふれる瀟洒な街で
あるふたりが運命の出会いをはたした
あまりにも運命的だったので
街の小さなラジオ局がドラマにした程だった
みんながふたりを祝福し たくさんの花束が届けられた
赤い薔薇 黄色の薔薇 ピンクの薔薇
鳴り響く教会の鐘
ふたりの以前の出会いはすべて平凡な別れとなり
運命の出会いの前になすすべもない
もうおまえは過去のひと
誰かがさした指
捨てられたローズは涙もながせないで
小さな鞄ひとつで街を出て
世界で一番長い列車に乗った
流れてゆく景色
だんだん緑も消えてゆき
降り立った小さな駅の向こうに広がる砂漠
砂塵に耐える潅木がところど
[次のページ]
戻る 編 削 Point(2)