ドーバー海峡の悪戯書き/天野茂典
ったりした
イギリスとフランスを結ぶカーフェリーの中の一齣
そういえば船員の帽子をかぶっていたっけ
ドーバー海峡は短い 1時間余だ
ぼくたちはおしゃべりのしっぱなしで
いちども外へ出なかった 甲板にもたたなかった
イギリス側の白い断崖が続くのは見た
後はバーへ直行だった
ピンク・フロイドの『原子心母』そっくりの
牧場の牛をイギリスでいっぱいみてきていたから
とても嬉しく 気分もよかったのだ
ぼくはもうあの初老の船乗りさんの年頃になっているのではないか
大西洋はみえなかったけれど
ぼくはコロンビアの船乗りさんにであえた
[次のページ]
戻る 編 削 Point(1)