桃始笑/
やや
するすると滑る皮下にはとくとくと
詰まる水気の多い蜜の脈
悩むのを止める良くはならない違いなど
生まれた幹が違うのだから
寝た後に晴れる身なら良かったの
開いたまぶたに映る霧
仄明るい曇りの道を歩いてく
見えずとも香りをたよりに
桃の香は年月を経て熟れたような
柔かい祖母の手の甲のもの
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