春休み/昏(ヤッカ)
僕以外は、みんな神様だと思っていたけど
結局神様だったのは僕の方だった。
設計図通りに僕のために作られた夜に
僕が死なないこと、僕だけが知らなかった。
あの日君は笑っていた?
笑っていた。
君以外は。
君は悲しそうな顔して
僕がつけた傷はもう治ってしまっていた。
休みの間、僕は君以外のありとあらゆるものに電話をしつづけた。
バルセロナは晴れだった。
会う人誰にも、僕はさよならを言わなかった。
空っぽになっていく部屋の概念
直列を嫌う月
死なない僕はその日、時間がなかった。
さよならを言う人を探していた。
神様じゃない君を探し回っていた。
そして、あの兵器を錆びつかせて雨は止んだ。
結局、君は見つからなかった。
もう町中は嘘で溢れてしまって
今はただ四月の温い希望だけがそこら中にありふれている。
神様じゃない僕は
言えなかったさよならを
折り紙入れにしまえればいいのにと思って
約束してない待ち合わせの日を想って
少し夜更かしをした。
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