そこに立っている/Ohatu
その伸びる影は
何度道路を横切っても
腕時計の代わりにはなれないでいる
そこを曲がれば彼女の家、なのに
まっすぐビルとビルの隙間を
繁華街の方へと抜けてゆく
ダンスフロアでは八方に切り裂かれ
動くたびに伸び、縮み
その横、腕を組みよそ見をする香水
神様はそこに立っている
鏡に映る宗教は、いつだって呪文ばかり
牢屋に放り込んだ真実を
見せ物にして金をとる
汚れた世界、汚れた言葉、汚れた呪文
繁華街はとうに寂れ、僕と彼女は町を出る
その横、ガラリゴロリと鳴るエンジンの中
神様はそこに立っている
戻る 編 削 Point(1)