ぼくたちはズレてる/フミタケ
厳選したスピーカーからは
あまりに原音に忠実な響き
すこしの嘘にも敏感な響き
コトバより確かな唇の柔らかさ
そしてまた振り出しのコトバに戻り
生まれたばかりの顔をしたレイナード・スキナードが持て余す確信が
ひらいていく夜のあらゆる手からエラーされていく
人の口は人の口 うたれるくいはくい
原音に忠実であれ いやなことは無に等し
夢見心地で書くべきものは企画書で
だけど必ずあとには動きをともなわせ
隣にいる誰かが同じ夢を見るときそれは現実
だれかの身銭で好き放題やって
一切気にすることもない
ぼくたちはズレてる すこしづつズレてる
星たちがぐるっとひとまわりするあいだに 僕たちがズレて奏でる
タイミングと
心と
からだ
戻る 編 削 Point(3)