花蒔き/田代深子
 
白の路傍に崩れはてる
頭の大きな子その
においかぐ枯犬

車牽く身重馬がぐうといなる
大人し馬に路の子らは
こわごわ触れわらい
飼葉を持たせば馬は食む
こうして強い陽に路が
白々かがやくとき
視子
御前には
白い路の先へつづく
緑黒の深山その先の
砂地と海と芳醇な国々の港
星ばかりの氷原
鉄と硝子の小路も
みえるのだろう那辺にも
わらう子らはおり御前は
御前に似た子を探し経巡る
空掻く息を吐き
はしる風のごと四肢ひろげ

路端に思わしげな母たち
さしむかわぬよう待つ
子らはいずれいさかいし
誰かがかすめ誰かが
小突き引き倒される
多く持つもの
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