上弦の月/涼深
届かない
あんたに触れたい指先は
夜に搦め捕られる
張り付く空気には微かな花の香
見遣った窓には真ん丸には足りない上弦の月が浮かぶ
あんたは今、誰と愛でているんだろう?
誰の名を呼んで、
誰に微笑んでるんだろう?
揺らぐ炎
重なる二つの吐息
あぁ
胸の奥にまた一つ
甘い傷ができちまったみたいだ
昨夜の逢瀬
醒めない余韻
肌を滑る指先も
鼓膜を揺さぶる軽い愛も
あたしを熱くする
叶わぬ恋路だってことくらい分かってるさ
のしかかる今宵の誰か
あんたより熱い肌と
繰り返す言葉遊び
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