出雲より 雲出づ/るるりら
 


    明
   す
  ぎ
 て
いろんなことがあれからひっくり返ってしまった  
この国を津波がなんどさらったかしらないけれど
われにかえって 思い起こす孤島
なにかたいせつなことだけはひっくりかえらずに
異国のゴミも打ち寄せている 出雲のある孤島で 
透明ではない雲と いっしょにとても大切な 
何かが生まれている
そんな気がして
その不思議に 耳をかたむけているうちに
 
梅が咲いたのです わたしの里山の
ごつごつとした枝に
遠い島で生まれた 透明ではない雲の仕業で
きっと 梅は咲いたのです
そうおもいたいのです


花の色と かすみの色が 呼吸があっている
わたしたち 
あなたとわたし こんなふうに呼吸があっているかしら
わたしたち ガラスの破片みたいに 
ただ透明に転がってはいないかしら

耳をすます
心をすます
春が霞む

あの海を思い 花を一輪捧げる
祈りは リインカーネーション









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